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即興小説 お題:簡単なドア

おじいちゃんはアルツハイマー型認知症です。

色々大変みたいで、僕もすごく困ってる。
僕の部屋にドアをノックもせず開けるし、フィギュアも勝手に持っていく。
いつもお爺ちゃんが着ているパーカーは僕のだし、おじいちゃんが使っているお箸も僕のだ。
お気に入りだったのになあ。

でも、いいこともあるよ。

お母さんが「新しいの買ってあげるね」って言ってくれたから、日曜日にジャスコに行って新しい服を買ってもらうんだ!めいっぱいオシャレして、小学校の友達に自慢するんだ。

そして日曜日、待ちに待ったお買いもの。
でも、なんでおじいちゃんがついてくるのさ…。

「ホレ、みろ健二!ここのお店の扉は勝手に開くぞ!ワハハ、手を使わなくても開く。これは簡単なドアじゃなあ!」
ジャスコの入口の自動ドアの前で、大きな声でおじいちゃんが言うので、僕はとても恥ずかしい。
買い物している時も、僕の選んだ服にケチをつけるし、もういやだなあ…。
また僕のパーカー着てるし…。

でも、そんなある日僕見ちゃったんだ。
おじいちゃんがいつものボーっとしている顔じゃなくて、お父さんにちょっと似てる大人の顔になって、一人で部屋で泣いてるの。
ほんとは気づいてたんだ。
おじいちゃんがときどき、ちゃんとした優しいおじいちゃんに戻ってるってこと。
とっても、つらい。
そしておじいちゃん、ひとりごとをボソッって言ったんだ。
「こんな思いするなら、死にたい」って。

おじいちゃん。
天国の扉は簡単なドアじゃないね。

あれから2年たって、僕はもうすぐ中学生になる。
おじいちゃんは、まだ生きてる。病気はひどくなってるけど…。
普通の扉も、もう自分では開けなくなっちゃったね。
でも、僕が開けるから大丈夫、「簡単なドア」にしてあげられる。

いつかおじいちゃんが天国の扉を、自分で気持ちよく開けるその時までは、
僕のおじいちゃんへ、「簡単なドア」のお手伝い。
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